大判例

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東京高等裁判所 平成12年(ネ)4492号 判決

主文

一  本件控訴をいずれも棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人らの請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。

二  被控訴人ら

本件控訴を棄却する。

第二事案の概要

事案の概要は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」中の「第二 事案の概要等」に記載のとおりであるから、これを引用する。

一  控訴人の当審における主張

被控訴人らは理事会が会員の基本的な権利を縮減することを決議で決することができる旨の会則(以下「権利縮減規定」という。)があることを知りながら入会時においてこれに従わない旨の意思表示をしていない。したがって、被控訴人らは預託金返還請求権が理事会決議により縮減されることを承知の上本件クラブに入会したというべきであり、右規定の適用を受ける。

二  被控訴人らの反論

控訴人の主張は争う。本件U友会員権は各地のゴルフ場で預託金返還問題が発生していた中で預託金の据置期間がなく請求によりいつでも預託金が返還されることを最大のセールスポイントとして募集され、被控訴人らは請求すれば預託金が返還されることを前提として右募集に応じたのであるから、権利縮減規定の適用について被控訴人らが反対の意思表示をしていることは明らかである。

第三証拠関係

証拠関係は、本件記録中の書証目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

第四当裁判所の判断

当裁判所も、被控訴人らの請求は理由があると判断する。その理由は、次のとおり付け加えるほか、原判決「事実及び理由」中の「第三 判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

(控訴人の当審における主張について)

控訴人は当審において被控訴人らが権利縮減規定の適用を受ける旨主張する。

しかし、被控訴人らが本件クラブに加入した平成八年(被控訴人矢島泰子については平成九年)の時点ではゴルフ場が抱える困難な諸問題が広く認識されており、日本各地でゴルフ場の預託金返還訴訟が多発し預託金返還の確実性について社会的に不安が生じていたことは当裁判所に顕著である。控訴人においても、平成元年に一〇八〇万円又は一四四〇万円、平成三年に二八八〇万円で募集した本件クラブのゴルフ会員権はその後市場価格が大幅に下落を続けており(平成一一年三月一一日現在では市場価格は九〇万円程度にまで下落している。)、預託金返還問題が深刻なものとなっていたことが推認される(乙一六、弁論の全趣旨)。そのような状況の下で控訴人がそれまでの本件クラブのゴルフ会員権と比べて一部権利に制限はあるものの預託金の据置期間がなく請求により預託金が返還されるという本件U友会員権を考案して募集したのは、預託金の返還についての不安を解消して容易に会員を募ることを目的としていたものにほかならず、そのことは本件U友会員権の募集パンフレット(甲七の1、2)において「預託金の二〇〇万円はいつでも退会時即返還」「預託金の据え置き期間なしだから安心」「画期的会員システム。預託金を全額保証。会員さまのご要望に応じて、いつでも預託金を返還致します。」などとうたっていることに照らして明らかである。そして甲九ないし一四によると被控訴人らは本件U友会員権の預託金が請求により直ちに返還されることに着目し、請求すれば直ちに預託金が返還されるものと信じてその募集に応じたものと認められる。

以上のような本件U友会員募集時の社会情勢や本件U友会員権の特質に照らすと、本件U友会員権については据置期間を設けず請求により直ちに返還する特別なゴルフ会員権として募集され、その旨会則に規定されるとともに、請求により預託金を直ちに返還することが応募する者に対して約束されていたというべきであり、会則のうち権利縮減規定は適用しないことが暗黙の前提として合意されていたとみるべきである。そしてその後に控訴人の据置期間の設定を正当化し被控訴人らにこれを受忍させるべき事情の変更があったと認めるに足りる証拠はないから、控訴人の主張は採用することができない。

第五結論

よって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法六七条一項、六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 新村正人 裁判官 宮岡章 裁判官 笠井勝彦)

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